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ベッドの選び方

 

 ベッドの選び方について、サイズとクッションに関わることはよく書かれていますが、他の観点からの記述したものはあまりないようです。そこでベッドについて少し、書いてみます。
 ベッドも立派な工業製品ですので、日本工業標準調査会のホームページのJIS検索から「JIS S 1102 住宅用普通ベッド」を探すことができます。そこから各部の名称、マットレスのサイズ、ベッドの試験方法などについて知ることができます。

 日本の一般的な住環境(部屋の広さ)を考えると、ベッドの選定は、寝室で就寝専用に用いることができるか、あるいは1つの部屋の中で全ての生活が営まれる "One-room Living" の中で用いるのかが分岐点分になると思います。この話に入る前にベッドを選ぶ上で重要と考えていることを書きます。

マットレス面の高さ

 ベッドはマットレスとベッドフレームの組合せとなります。マットレスの厚さが各種ありますので大づかみの寸法ですが、床面からマットレス上面の高さは38cm、43cm、48cm、・・・というようにほぼ、5cmピッチで各種あります。このマットレス 面の高さについて言及したものを読んだことがありませんが、ベッドを選ぶ時のひとつの重要なポイントと思います。
 ベッドに関わる寝る以外の基本動作を考えると次の2つがあります。

  • ベッドに腰をおろして体を滑り込ませて寝る
  • 上半身を立てて体をずらしてベッドの端に座って立ち上がる

 これより『座る』という観点からベッドを見ることも重要です。
 マットレス面の高さが椅子の座面高と同程度(人の体格によりますが、日本人の成人であればマットレス面の高さ43〜48cm)のベッドは上記の動作が自然にできます。また、椅子に座わる人と、ベッド上で上半身を起した人が話しをする場合、視線の高さを同じにできます。
 マットレス高さが低いものはこれらの動作における体の重心の移動量が大きく、「よっこらしょ」という感じが強くなります。
 旅先のホテルで使うマットレス 面の高さが60cm程のベッド、視線が高くなるためか、豊かな気分になれ、格別のものです。浅く腰掛ければ上記の動作もこなせます。「マットレス面の高いベッドは部屋に圧迫感を感じるから」と考える人、また、販売店でこれをセールストークにする人もいますが、寝室専用であれば候補として考えてよいと思います。
 なお、病院のベッドのマットレス高さは看護婦などの病院側の作業する人の労働負荷も考慮されています。高齢化社会ということから、そのような面についても考えることが必要な時代になってきました。

デザイン

 子供の時、業務用の鋼製フレームのベッドをあてがわれていました。それはねぼけてフレームに体をぶつけて痛かったことや冬にフレームを触ってしまった時の冷たさという思い出と一緒にあります。
 ベッドを選ぶ時、ベッドフレームのデザインは重要な選択の要素となります。しかし、『安全』という面への配慮も必要です。「フレームの枠に子供が首をはさ んで・・」などというのは論外ですが、ねぼけてベッドフレームにぶつけて痛い思いをする、というのはよくあることです。
 「どういうデザインが安全か」 は、ベッドに接近する家族の構成(子供の有無)や使用者の年齢、周囲に置く家具との関係などもあり、一律に「こうだ」ということはできず、それらを踏まえて想像力を働かせることが必要です。

ベッドを使う場所

寝室

 寝室で就寝専用に用いることができれば上記のマットレス高さ、デザインに対するものが中心となりますが、寝室に十分な広さをあてることができない日本の住宅事情、これに『収納』に対する配慮が加わります。ベッドを収納場所にする方式として 次の3種類があると思います。それぞれデザイン上の制約があり、また、部屋の中のベッドの配置により使い勝手が異なることから、最終的に「デザインを優先するか、実利を優先するか」という選択になります。

  • 引き出し式
  • ガススプリングと組み合わせてマットレスを支えるボトムごと蓋のように持ち上げてベッドフレーム内を収納場所とするもの
  • Leg typeと呼ばれるデザインのもので脚が長いものを選ぶことでフレーム下を収納スペースとして使うもの(下に入れたものが直接、目に触れないようにフレームの周囲を覆ってしまう布もあり)

One-room Living

 このような部屋では、ベッドは来客時の臨時の椅子のような役目も果たします。そこでベッドのマットレス面の高さは椅子と同じ程度の高さのものを選ぶのが 妥当です。そして日中は、上掛布団を丸めてベッド上の背もたれとなる位置に配置して、ベッドスプレッドで全体を覆ってソファ風にアレンジす るとか、生活感を感じさせない配慮も可能です。

ソファ・ベッド

 「就寝時はベッドに、昼間はソファに」と広くない住いのスペースを有効に利用するために、ソファ・ベッドは魅力に映ります。
 ソファ・ベッドの形式として縦のラインで折れるもの、横のラインで折れるものなど、様々な形態があります。中央で折り曲がるタイプのソファベッドの曲がる凹部にタオルを置 き、その上にベッドスプレッドを敷いて寝たこともありますが、材質の変わる部分は気になるものです。
 基本的にソファ・ベッドは「非常用」と考えた方がよいと思います。