ソファの話
小原二郎編の『インテリアデザイン』(1973、鹿島出版)に紹介される「身長を基準にした設備・ものの寸法のSlinging
scale」というものが紹介されています。この中で軽休憩用のいすの高さとして170cmの身長で31cm位を示した図があります(この本はかなり昔に整理してしまい、野呂影男編:『図説エルゴノミクス』(1990、日本規格協会)で収録の図の引用文献として書かれているのを見ての孫引き)。一方、J.D.
Chiara, J. Panero & M. Zelnikの"Time-saver Standards for
Interior Design and Space Planning"(1991,
McGraw-Hill)でSofaの座面の高さとしてLarge Sizeでは1'15 to
1'6"、Medium Sizeでは1'4" to
1'15"と記載があります。1"は25.4mmですから、Medium
Sizeで406.4〜431.8mm。日本では靴を脱いで使用すること、それから体格の差を割り引いても、31cm位というのとは開きがあり過ぎます。
「部屋を広くみせたいから座面の低いソファを選ぶ」というのは本末転倒だと思います。まず、座り心地の良さを判断基準として選び、その上で背もたれの高さが食卓のテーブルと同じ位の高さに納まるソファを選ぶのがよいと考えます。座面の高さ(一番高い部分)が35cm位のソファで背もたれの高さが65cmのものでも十分、くつろぐことができます。それからデザイン上、ボリューム感のあるものは圧迫感が生じるため、シンプルなデザインから選ぶのがよいと思います。
カリモクの既に廃番になっているソファベッドです。広い住まいではありませんので、来客時に使えるようにということが念頭にありましたが、やはり掛け心地は重視して選んだものです。平らにしてベッドの状態で使ったのは数えるほどですが、このままの状態で横になって寝てしまったことを考えると、使用頻度は高いともいえます。経年変化で痛みが目立ってきたため、「修理を」と考えてカリモクに見積依頼したところ、修理は諦めた方がよさそうな金額が出てきました。現在、後継のソファを物色中です。
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