竣工した建築物の中には『この建物、2/3スケール?』と思わせるようなものがあります。設計者としては「斬新でダイナミックなイメージを」と考えたのが、できあがっている物は、せせこましくゴテゴテした印象を持つ物です。これは空間的な感覚が身についていない設計者が図面の上で「ああでもない、こうでもない」とアイデアをこねくりまわした結果ではないか、という気がします。
建物ばかりが対象ではありません。例えば人が使う道具を作る人にも関係あります。「使いやすい寸法は」といったものは製品設計の上で大変、重要なものとなります。
「主婦感覚」と「感覚」を前面に出す人がいます。でも彼女たちにもこのことは無関係ではいられません。例えば家のリフォームを考える場合、通路寸法の確保は作業性や安全の上で非常に重要ですが、これらは微妙なところは感覚となりますが、やはり人間工学に基づいた寸法が必要になります。論理性が要求されます。
海外旅行でホテルの部屋が気に入ると、その寸法をメジャーで測定しています。これは「これくらいの空間だと広さを感じるのか」とか、「これ位の寸法だと使いやすいのか」といったことを自分なりに把握するためのデータベースとする作業でもあります。 |